スパークプラグの交換

「スパークプラグ」と名前だけ聞くと、何やら恐ろしげな印象を感じます。大体が、エンジン内で火花を飛ばしまくって、燃料を爆発させまくって、ピストンをゴリゴリ押すのがお仕事なわけですから、それはさぞかし危険部品だろう、と思うのです。きっと、何万ボルトもの電流がバチバチ放電しまくっていて、触れようものなら即座に感電、即座に逝去。みたいな。思わず、自分の死に尊敬語を使っているあたりが私の混乱度を示しています。
でも、実際はそうではなくて、手のひらに乗せてやると可愛げにコロコロ転がってくれます。さすがに、お仕事中に邪魔をすると上記のように感電するのですが。

さて、今回はそんな危険な一面を持つスパークプラグさんを交換します。交換目安は、およそ1000〜2000kmといった具合でしょうか。多分、そんなもんです。「おや?何か調子が悪いな?」と思ったら交換してみることにしています。

まずやるべきことは、バイク屋さんに赴き、スパークプラグを買うことから始めましょう。YB-1Fourの場合、NGKのCR6HSA、もしくはCR7HSAというスパークプラグを買っておけば間違いないです。一個400円程度です。
ちなみに、イリジウムプラグなんていうスパークプラグもありますが、インプレッションを読む限りでは、お高い割には効果が薄い、という声が多かったので私は使いません。でも、いずれ試してみようかと思います。

さて、レジのお姉さんかお兄さんにお金を払い、買い物を済ませましたら、車載工具を出しましょう。車体左側のサイドカバーの中に入っております。スパークプラグの交換だけは車載工具のプラグレンチが使えるので、それにドライバーなり鉄棒なりを引っ掛けて使います。「俺ぁ、プラグレンチが欲しいわけよ!」という方は16mmのプラグレンチを買いましょう。

さて、プラグレンチを用意しましたら、車体右側に移動しましてプラグキャップを引っこ抜きます。引っこ抜くときはコードを持たずにカバーを持ちましょう。コードが抜ける恐れがあります故。

上のようにプラグカバーが外せましたら、プラグレンチを使ってスパークプラグを外します。このときに、プラグレンチを奥まで差し込んだら1mmほど浮かせて回すと良いそうです。理由は・・・なんですかね?シリンダーヘッドに傷がつかないように、とかそんなところでしょうか。プラグレンチで一回転ほど緩みましたら後は手で緩めていきます。

さて、スパークプラグが外せましたら、差込口付近にキレイな布をあてがっておきましょう。ゴミが入ると大変ですので。

付着したカーボンをブラシなどで落とし、電極部分の焼け具合なんかをちょっと観察してみましょう。茶色もしくは薄い黒程度に焼けていれば問題はないそうです。もし白く焼けていたら番号をひとつ上げます。CR7HSAを使っていたならばCR8HSAに。もし、カーボンだらけであるなら番号を下げます。

スパークプラグの番号を変える理由は、スパークプラグには「熱値」というものが存在します。これはスパークプラグがもつ特性の一つでして、燃焼時にはカーボン(すす)が発生します。これがスパークプラグに付着すると火花がうまく飛ばなくなってしまいます。この状態を「プラグがかぶっている」といいます。 これを防ぐために、スパークプラグさん自身が高温になり、その邪魔なカーボンを焼き払うように出来ています。これを「自浄作用」といいます。 番号が小さくなるにつれて「熱値」は低く、つまり、お仕事中のスパークプラグさんに影響する温度が高くなっていき、この作用の効果が高くなっていきます。が、世間の仕組みというものは皮肉なもので、その反面、高温になりすぎてスパークプラグがへたってしまうことになります。

これを踏まえて、番号の変更をしていくのです。上記の例で、「白く焼けた」ということは、「温度が高すぎる」、「自浄作用が強すぎる」ということです。ですから、温度を低く、つまり「熱値」の高い、番号の大きいスパークプラグに交換するわけです。 黒く焼けている場合はそれの逆です。「黒く焼ける」というのはカーボンが目一杯付着している状態のことでして、「自浄作用が弱すぎる」ということです。 これは温度が低いために起こる現象ですので、温度を高く、つまり「熱値」の低い、番号の小さいスパークプラグに交換します。分かりましたか?私は自分で言っててよく分かりませんでした。でも、多分、こんな感じなのではないかと思います。が、あまり神経質に焼け具合に拘る必要はないかと思います。街乗りや、ちょっとしたツーリングがメインの方であれば、上記に書きました型番のスパークプラグで十分です。

上の写真は、右が新品なのですが、全然違いますね。ちなみに、左のプラグは1000km時のものです。

さて、特に問題がないようでしたら、スパークプラグの差込口の周りのゴミを吹き飛ばしてから、新品のスパークプラグを取り付けていきましょう。初めに、ネジ部分に焼きつき防止剤を薄く塗布しておくと、今後の交換が楽になるかもしれません。

焼きつき防止剤「アンチシーズ」。米軍仕様という謳い文句。本当かよ。

まず、手で締められるところまで締めてからプラグレンチを使って締めます。初めからプラグレンチでギリギリ締めこんでいくと、シリンダーヘッドのネジ山が潰れてしまう恐れがあります。お高いものですので、ここはひとつ、初めに手で締めていきましょう。石橋叩いて渡りましょう。

手で締められるところまで締めましたら、最後にプラグレンチで1/4〜1/2回転ほど締めます。マニュアルには1/2回転とありますが、私の場合、そこまで締め付けるのは怖いので大体、1/4回転ほどで留めています。決して、ほとばしる体力と筋力と瞬発力を活かして力いっぱい締めないで下さい。ネジ山が潰れちゃってイヤン☆ってなことになります。ここはひとつ、乙女の如き優しさと慈悲の御心でもって、1/4〜1/2回転ほどで止めておきましょう。 ちなみに、交換せずに再使用する場合は、ネジ部分を歯ブラシ等でコシコシ磨き、1/12回転ほどの締め込みで締めます。

スパークプラグをうまく締めこみましたら、プラグキャップを元通り被せてお終いです。



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